1月26日、総務省は、「FMC(Fixed-Mobile Convergence)サービス導入に向けた電気通信番号に係る制度の在り方」についての答申(案)を発表、これに対する意見を募集するそうです。
FMC自体、目新しい話題ではありません。かつて、ワンナンバーサービス(参照)と呼ばれるがありましたし、携帯電話の普及以前には追いかけ電話サービスなどもありました。
要は、たった一つの電話番号で、どこにいても確実に電話を受けられるというシステムです。
しかし、本当にこんなシステムが必要なのでしょうか?
今の時代、携帯電話(PHSを含む)を持っていない人の方が少ないし、直接本人と話をしたいなら携帯電話/PHSに掛けるのが一番確実ですよね。強いて言えば、通話料金が割高なのが難点ですが、相手の所在地を確認後に固定電話やIP電話など割安な通信手段に切り替えればコストも最小限に留められますよね。
私の周囲に多いクリエイター系の人間やフリーランスの人たちの多くが、名刺に携帯電話番号を記載しています。それは、事務所(や自宅)に連絡を貰っても不在であったり、(留守番役では)要件が伝わらないことが多いからです。
また、個人規模の事務所などは転居で電話番号が変わることも少なくないため、ロケーションフリーの(不変な)電話番号というメリットもあり、取引先などに公開することに抵抗は少ないのでしょう。事実上のワンナンバーとして使っているといえるでしょう。
しかし、ワンナンバーにもデメリットはあります。いつでも持ち歩く携帯電話では、深夜や休日などにも(仕事の)電話が掛かってくる可能性もあるわけで、公私の区別が難しくなります。まして、電話を掛けてくる相手は、こちらの状況がわかって掛けているわけではありませんから、TPO次第では適切な応対ができない可能性も出てきます。
私が携帯電話とPHSを併用する理由の一つが、ここにあります。基本的に通話料金が安いPHSは、名刺にも印刷してありますし、仕事場の固定電話と同義(というか、それ以上)の代表番号的な扱いにしています。
一方、携帯電話は(文字通り)常時携帯する電話なので、特定の相手にしか公開していません。
つまり、2ナンバーを使い分けているわけですが、070なのでPHSであることは明白なので「今、よろしいですか」と切り出されることも多く、TPOの問題はさほど目立ちません。(逆に、仕事場の固定電話に掛かってくるのは、こちらの状況を考えない一方的な営業電話くらいです)
というわけで、私はFMCは不要だと考えます。コスト面も含めて“どこでも本人に繋がる電話”が必要なら、PHSがお勧めですね。(PHS同士なら定額制料金も有効ですし...)
余談になりますが、総務省や通信業界関係者がFMCに注目している理由は、もっと別のところにあります。
携帯電話やPHSで熟成してきた移動体通信の仕組みと有線通信網の末端として発展してきた無線LAN,WiMAXなどの仕組みを融合し、シームレスにハンドオーバーさせることで、新しい通信サービスの可能性を広げるというインフラの整備なんですね。そのための布石として、まずは電話番号として新たに060を割り当てたり、070や080/090、さらには050までも割り当てようというのが、今回の答申(案)の骨子です。
つまり、FMC自体が、直接ユーザーにとっての利便性に繋がるというあたりは有耶無耶なんですね。
まぁ、技術的に可能なことはやってみようという話なんですが、かつてのワンナンバーサービスのような結果にならないことを祈りましょう。(^^;)
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