国民生活センターから「公道走行できるという四輪バギーの安全性」という報道資料発表がありました。
四輪バギー(ATV)については過去記事を読んでいただきたいのですが、この資料にはちょっと引っかかるところもありますね。
法的な問題と、ATV本来の機能・性能に関わる問題、さらに中国製品の品質問題や無知な消費者と悪質な販売業者の問題が整理されないまま資料ができあがっている点です。
まずは、機能・性能の問題と法的な問題についてですが、デフレンシャルギアがなく、コーナリングが難しいのはATVにとっては当然のことであり、それがないと本来の不整地走行に適さない訳ですから。いくら公道走行可能といっても、日常の足として公道を走り回るのに適した車両でないことも言うべきでしょうね。
要は「オフロードに遊びに行くのに、公道を自走させることができる」程度の「公道走行可」だという点にまで踏み込んで欲しかったですね。
次に、法的な問題ですが、四輪バギー(ATV)で公道を走るためには、何が必要なのでしょうか?時速6km以下しか出せなければ、シニアカーなどの扱いも可能でしょうが、それでは実用性が乏しいわけで、「原動機付き自転車(ミニカー)」の基準を満たしている必要があるわけです。
というわけで、今回はこの辺りの解説から書いていきます。
まずは道路運送車両法の保安基準をクリアしなければならないわけですが、「公道走行可」を謳うATVのほとんどは、ここに書かれている保安部品を装備していると説明しています。
しかし、装備されている保安部品が原動機付3・4輪自転車の構造・装置にかかる技術基準を満たしていないところに問題があるわけですね。ブレーキを装備していても能力が十分でない、方向指示器があっても、明るさが十分でないなどの点です。
これらの要素を満たせば、法的には堂々と「公道走行可」を謳えるわけです。(資料には「実用を想定した走行性能等」に「発進してから150m走行したときの速度は40~50km/h程度であった」という記述がありますが、「原動機付三・四輪自転車は、積車状態において、平坦な舗装路面上で停止状態から10m及び30mの距離を走行するまでに要する時間がそれぞれ4秒及び7秒を越えないものでなければならない」という規定はあるものの、最高速度などに関する規定はありませんから、この点は問題ないとすべきです)
しかし、実際の安全性という面も考える必要がありますね。現在国内で市販されている四輪バギー(ATV)の全数が中国製/台湾製です。国産はありません。
今回国民生活センターが問題視した点の一つが、製品としての品質と販売業者の質でした。はっきり言って中華品質、つまり、いい加減な造作の商品が多いということ。ATVマニアの間でもこの辺りは常識で、台湾製ならまだしも、中国製は材質から作り方まで一切が信用できないという前提であり、自分自身で整備・改良できる人以外は手を出さない方がいいと言われています。
せめて台湾製か、しっかりと点検整備をした上で納品する販売業者を選べばいいわけで、この辺りの話も混在したままの報道発表はちょっと迷惑かもしれません。
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